月別アーカイブ:2008年09月
2008年09月29日 (月)
フードリテラシー研究会によるワークショップ、
「伝統酢対決!日本×イタリア」のレポート、その1からの続きです。
バルサミコ酢に続いては、我らが日本のお酢です。
飯尾さんによる講義、もう何度目か?!という感じなので、
内容はここでは省略します。
どんなものか知りたい方は以前の記事を見てみてください。
→『創造的な食育ワークショップ』出版イベント
→味覚レッスン―酸味

ティスティングです。
プラスチックのコップに入った2つとレンゲに入ったものの計3種類です。
コップで色の薄いのは某大手メーカーの醸造アルコールを使っている速醸酢。
もうひとつの色の濃いのは、飯尾醸造の富士酢プレミアム。
富士酢プレミアムは、お酢1リットルあたり320gのお米を使い(JAS規格では40g)、
契約農家による農薬を使わないで栽培した新米で仕込んだもろみから、
静置発酵・長期熟成で造られたお酢です。
今回はクリスティアーノ氏のテイスティングコメントが加わります。
速醸酢については、「何も訴えかけてこない」から始まり、
しまいには「ゴムホースのようなにおい」と辛辣なコメントが。
一方、富士酢プレミアムについては、
「バラ、すみれ、アカシア、はちみつなどの香りが豊か」とすばらしいコメント!
そういう香りをとれるクリスティアーノ氏はすごいです。
そしてレンゲに入ったものを最後にテイスティングします。
「お酢にしては酸味より旨味のほうが後味に残って変なの」
というのが私の印象でした。
答えは、たぶん人工的に何らかを行っていると思われるお酢ではないかとのことです。
このお酢の存在は、以前飯尾さんから聞いてはいました。
飯尾さんが東京農業大学の発酵食品化学研究室(飯尾さんの母校)に
様々なお酢のアミノ酸20種の分析を依頼し、
液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて測定したところ、
通常、総アミノ酸量におけるグルタミン酸の割合は5〜10%程度なのに、
このお酢のグルタミン酸の割合は100%だったというのです。
この結果から推測するに、
醸造した酢ではなく合成酢である可能性が高いのではないかとのことでした。
でも、合成酢という表示はないそうです。
このお酢、どこのメーカーのものかは教えていただけなかったのですが、
有名料理研究家の方などが愛用しているそうで、
「昔ながらの〜」といって売られているとのことでした。
「昔ながらの」という言葉ですが、あながちウソとは言えないのです。
というのは、第2次世界大戦中の食糧不足の時代は、
米から酢を造ることが禁じられ(食べるコメにも不自由していたのですから)、
氷酢酸か酢酸を水で薄め、砂糖類、酸味料、化学調味料等で味を調えた
合成酢が造られていました。
ものは言いようですね。
まだまだ長くなりそうなので、その3へ続きます。
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2008年09月29日 (月)
フードリテラシー研究会によるイタリア食材リテラシー週間、
1週間にわたるワークショップのトリを飾る
「伝統酢対決!日本×イタリア」に参加してきました。
日本とイタリアの伝統酢を比較文化の視点で語り合うというもので、
イタリアはクリスティアーノ氏によるバルサミコ酢、
日本は飯尾醸造の5代目見習い、飯尾彰浩氏による米酢です。
飯尾さんのブログに「最初で最後であろう特別な酢を味わっていただくつもり」と
書かれていたので、期待は高まります。
まずはバルサミコ酢から。
伝統的な(トラデチョナーレ)バルサミコ酢は、最低でも12年の熟成が必要。
作り方は、マルヴァジーアやトレッビアーノなどのぶどう(ワインで使われる品種)を
搾った果汁を煮詰めます。
煮詰めることで、糖度が高くなり、色もカラメル色になります。
また、熟成しやすくなるのだそうです。
煮詰めたものを種酢の入った樽の中に入れます。
樽は屋根裏部屋に置くのですが、部屋の温度変化が激しいため、
微生物の活動が活発に行われるというのが理由だそうです。
大きな樽から小さな樽へと少しずつ移し替えながら熟成させていきます。
樽に移すときは4分の1のみで、残りの4分の3は元の樽に残す決まりがあります。
熟成期間中に移し替える樽の数は造り手によって違いますが、3〜10だそうです。
樽に使われる材質も、サクラ、カシ、クワ、トリネコなどで、
それから移る香りも重要とのことです。
種酢の入った樽は「ボッテマードレ」(母)という名で、
最後のボトリングされる直前の樽は「レッジーナ」(女王)という名だそうです。
このレッジーナからボトリングできる量も決まっており、
15%しかボトリングできないそうです。
シェリーのソレラ方式で樽を積み上げないものに近いかなと思って聞いていました。
樽の中でアルコール発酵と酢酸発酵がほぼ並行して行われるそうです。
アルコール発酵には酸素は不要ですが、酢酸発酵は酸素を必要とするので、
樽の上部には穴が開いていて、その部分に布がかぶせてあるそうです。

続いて、プラスチックのスプーンに入ったバルサミコ酢をテイスティングします。
酢をテイスティングするときは、陶器またはプラスチックの器を使います。
金属は味が変わってしまうのでNGです。

一番左が伝統的なバルサミコ酢で12年熟成のもの。
真ん中が同じく伝統的なもので25年熟成のもの。
そして右が普通の普及品のバルサミコ酢です。
色そして粘度が違うのが写真からも分かるかと思います。
普通のバルサミコ酢はサラサラの液体ですが、
伝統的なものは粘り気があり、ツヤもあり、チョコレートのような色です。
この3つ酸度はほぼ同じだそうですが、
口にしたときに感じる酸っぱさが全く異なりました。
伝統的なものは酸味よりも甘味を強く感じ、酸味もまろやかでした。
普及品は酸味が強く、甘味はほとんど感じませんでした。
この違いは原材料と製法の違いだそうです。
普及品のバルサミコ酢は、ワインビネガーにカラメル色素、香料等を添加し、
12時間くらいで工業的に造られるそうです。
伝統的なものとは全く別物と思ったほうがいいように思います。
ちなみに伝統的なバルサミコ酢の正式名称は
Aceto Balsamico Tradizionale di Modena
(アチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ・ディ・モデナ)といい、
イタリアのエミリア・ロマーニャ州のモデナ又はレッジョ・エミリアでのみ造られます。
長くなるのでその2に続きます。
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2008年09月25日 (木)
フードリテラシー研究会によるオリーブオイルのワークショップ、
続いては実践編です。
オイルの抽出方法、基礎編で説明された2つの方法、
伝統的方法と遠心分離法(連続式法)に加え、
もうひとつ、シノレア法について説明がありました。
これは、水と油の表面張力の差を利用した方法で、
水と油が混ざった中にナイフの刃を入れて刃についた油分を抽出するそうです。

クリスチアーノ氏がどういうことか試してくださいました。
そして、エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルとオリーブオイルの違いについて
説明がありました。
エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルは、
香料、着色料、保存料等を一切加えてはならず、
他の種子油も混ぜてはいけないと決められています。
オリーブオイルの分類は次の通りです。
・Extra Virgin Olive Oil 0.8g以下の酸度のもの
・Virgin Olive Oil 0.8〜2gの酸度のもの
・Lampante Olive Oil 市場には出ない精製されるオイル
・Refined Olive Oil 精製されたオイル
この分類はラベルに表記することは定められていないそうです。
虫に食われた実、カビ臭のする実、土がついた実は、
捨てずに使われますが、それらは精製用オイルとなり、
精製用オイルにわずかなエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルを混ぜたものが
オリーブオイルとして市場に出ているとのことです。
加える量は決められてはいないそうです。

講義のあとはテイスティングです。
4種類のオイルをテイスティングします。
一番左のオイルは、エクストラ・ヴァージンではなく、ただのオリーブオイルです。
精製されたオイルです。
(某日本の大手メーカーが輸入して売っているオイルでした。)
残りの3つはすべてエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルです。

・黒丸の印のコップのもの(左のボトル)
生産者名:ゴッチョ・ドーロ
生産地:イタリア、プーリア州
品種:コルティーナ種、バンビーナ種(オリアローラ・バベーゼ種)
抽出方法:連続式、低温
濾過の有無:濾過している
合う料理:カルパッチョ、揚げ物、繊細な料理、白身のあっさりした肉
・赤シールのもの(真ん中のボトル)
生産者名:アグレスティス
生産地:イタリア、シチリア州
品種:トンダ・イブレア種
抽出方法:低温
濾過の有無:濾過している
合う料理:赤身の肉、白身の肉、魚、サラダ
・青シールのもの(右のボトル)
生産者名:ディ・パスクアーレ
生産地:イタリア、アブルッツオ州
品種:数種類
抽出方法:シノレア法
濾過の有無:濾過している
合う料理:ブルスケッタ、ラグーのパスタ、赤身の肉
上記3種類のオリーブオイルは、ルナ・エ・ソーレさんで扱っているとのことです。
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